熊本城マラソン2013
はあはあ言って一体どのくらい走ったんだろう?
気がついたら長ーい道を黙々と走っている
膝が痛い
太ももに鉄板を入れたように動かない
アキレス腱が引っ張られて今にもちぎれそうだった
「30」と言う数字が見えた
ああ
やっと30キロ地点に来たんだ
給水地点を見かけると水を飲む前に
熱くなった両脚に水をぶっかける
靴の中に水が入っていく感覚さえどうでもよくなっていた
スタート地点では友人と
一緒にゴール出来たら良いねなんて言っていた
気がつくとペースに少しづつズレが出来て
一人で走っていたので寂しくなっていた
歩道から聞こえてくる「ガンバレ」の声
恐る恐る手を出してくる子供達の小さな手に
ハイタッチをすると少しだけ元気が出てきた
股関節に丸太棒を突っ込んだような感覚が
一歩一歩地面を踏むごとにハッキリと頭の中に伝わってくる
膝は殆ど曲がって無いんだろうな
明日はこんなんで大丈夫かな?
こんな調子でゴール出来るのかな?
一緒にスタートしたSは今頃どこに居るのかな?
ありとあらゆる余計な事を考えていると
ずっと聞いてきた「ガンバレ」の声援の中から
「あと少し!あと5キロだよ」と聞こえてきた
まっ!!!!!!!
あと5キロ!!
あと5キロが長いんだよなぁ…
去年の経験もあるのであと5キロの意味を僕はよく知っていた
あと5キロは体感であと15キロくらい
まあ、それにしてもあと少しである事に変わりは無い
僕は完全に丸太棒になった両脚を
上半身を使って振り子を揺らすように走った
フヌッッッ
グググッ
フウゥゥ
痛いのと辛いのと不安な気持ちを
振り払うように進んでいくと目の前に石垣が見えてくる
やっとここまで来たんだ
やっと…
やっと…
ここで歩いてしまうとまた前に進めるのか不安だったから
歯を食いしばって足を揺らした
それでも熊本城に行きつくまでの坂道は半端なものでは無く
気持ちがへこたれそうになると右側から声が聞こえてくる
たけしさんっ!!がんばれっ!!!
もう少しでゴールなのにへこたれそうになった
僕の目の前に居たのは鹿児島が産んだ感動屋さん友人Mだった
苦痛で歪んだ僕の表情が一気に緩み
自然と笑顔と勇気が湧いて出た
足なんか痛くない
苦しくも辛くも無い
僕の中は色んな声援で満たされていた
孤独は嫌だけど人の温かみを再確認出来た
丸太の脚は一瞬だけ軽くなり
簡単にゴール地点まで僕を運んでくれた
一緒に走り始めた友人も初参戦ながら最後まで走りぬき
気がつくと二の丸公園で恥かしげも無く抱き締めあった
今でも右膝は痛いけど
やっぱり走って良かった熊本城マラソン
友人達との忘れられない思い出がまた増えました
でも来年はちょっとわかんないな…
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